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山田はるこ

アトリエの植物たち:綿花

立て続けに3本、アトリエの植物紹介をさせていただきます!

植物を育てて、それを材料に〜というのはアトリエを始めて2年目マリーゴールドから始まったと思いますが、それまでも外で拾ってくるということで、自然物や身近な植物をつかう機会はたくさんありました。

取ってくる植物と、育てる植物で違った面白さがあります。取ってくる植物は落ちている枝や、ドングリなどの木のみ、落ち葉、または、たくさん生えているいわゆる雑草(クローバー、オオバコ、カラスノエンドウや、ねこじゃらし[エノコログサ]などでしょうか)それでも案外種類は豊富だったりするので、獲物をゲットする?というのか狩りのような面白さがあります。

育てるときの面白さは、どんな形の種か?季節は?どんな形の葉っぱ?どんな花?とか変化していくその姿をどの段階も見られます。その植物の生態というのでしょうか、様々なプロセスが全部みえてきます。日々のちょっとした変化なども感じられると、とても愛着がわいてきます。また、植物のすごいところは、育てるとはいえ、ほとんど勝手に大きくなってくること!これに本当に驚きました。


大学時代から、主に金属を使って制作をしてきていたので、何かが立ち上がってくる、立ち上がらせるのは本当に大変!という感覚があって、水をあげていればあとは勝手に大きくなるという、とても生物的なところがまず新鮮でした。

もちろん、上手く作るということに関してはまだまだ環境も、経験も足りずうまくいかないことも多々ありますが、それでも植物が土、水、太陽の力を得て、自らどんどん大きくなるということの面白さ、というか素晴らしさというのか、喜びというのは他に代え難いモノがあるなあと感じています。どんな植物でも、種を植えて、ちょろっと芽が出ると「かわいい〜!」と、とても嬉しい気持ちになります。


そして、今年はじめて挑戦した植物をご紹介。綿花です。

これまでは、染めに使ったり、昆虫観察用だったり、グリーンカーテンがてらにゴーヤやキュウリを育てたりしておりましたが、ついに生地にも意識が及んできて、生地を作ってみたいという思いから、綿花を育てることにしました。


昨年ぐらいからSDGs(持続可能な開発協力)という言葉も気になりだし、色々勉強していくうちに地球環境のこと、私たちの身近な暮らしを構成する素材そのものにとても興味が出てきました。毎日毎日綿の生地を身にまとっているのに、綿のことをほとんど知らないなと思っていました。もちろん、それまでも染めをやっていたので、気になって資料として綿花畑の様子などは見たことはあったし、写真を子どもたちに見せたりもしていました。


ここ日本の環境でも育てられる植物ならば、やらない理由はない!と種を買ってみました。


5月に種植え、10日ほどで芽が出てきました。


5月20日種もそれなりに大きいのですが、芽も藍よりずっと大きい双葉が出てきました。



6月1日まさに双葉!という可愛い姿。

ここから一気に伸びて7月には背丈1m弱程度、花も咲き始めました。


7月19日



7月19日

オクラと似た花が咲くのだなあと思っていたら、やはり同じアオイ科の植物ということで、そういえばタチアオイなんかともつぼみなんかが似ている感じ。

だんだん大きくなって、たくさんの花が咲き



実がついて






われてワタが飛び出してきました!

すごい!本当に出来ました。

摘んでみると本当にふわふわ、つるつる。とっても良い手触りです。

9月にみんなで、自作スピンドルを使った糸つむぎをしました。

何かが作れるほど長くは出来なかったけれど、くるくる回すことで糸になっていくことの実感がありました。道具もしっかり無い中でみんなとても頑張りました。


調べてみると必要な道具は色々とわかってきました。種を取り除く綿繰り機、ゴミなどを取り除く弓、そして糸車。そういった道具があればもっと出来たかもしれません。それでも、いくら手作業の道具を使っても、やはり気長にやらなきゃ、という時間のかかる地道な作業ですね。


ワタを採って、種をつまみ取ります。


ワタをある程度の固まりにして、スピンドルでくるくる

スピンドルは割り箸に、フックと丸く切ったダンボールを差し込んだ簡単なモノで今回は試してみました。ダンボールの丸でも回転はしましたが、もう少し重さがあっても良いのかなあと、やってみて思いました。





ちょっとお手伝いしつつ、ちびっこさんの頑張りでこんな感じ。ワタの状態もあまり良くないのだろうと思いますので、まずはここまで。という感じでしょうか。


9月頃たくさん実をつけ、その後もたくさんの花を咲かせましたが、最終的にはワタの収穫量はとても少ない感じでした。まあ、プランターで2株しか育てていないので、何ともいえませんが。しっかりとした実は5個〜7個ぐらいしかつかなかったように思います。後は、花は咲いても、実がほとんどつかないようなものが多くありました。


それでも、「そこにワタがある」という意識が子どもたちにとって新たなアイディアとなっているようです。毎週来る度に「今日の収穫〜」といいながら実っている様子を見に行く子がいたり。おもむろに人形を作り始めた子がいて何でだろうと思っていたら、プランターからわたを取ってつめようとしていた。ということが発覚したり、面白い発展がありました。


地植えにすれば、もっともっと採れるのだろうと思いますが、地面はそう簡単に使えません。。。


そして、ちょうどワタを収穫して楽しんでいた頃、下の八百屋さんで、ワタが売っていて。驚きの大きさ!



ワタが大きく飛び出して、あふれています。

なんというボリューム!アトリエのプランター綿花の5倍くらいの大きさがありそうです。品種の違いなどもあるのかもしれませんが、思わず店長に「どうしてこんなに大きくなるんですか?」と聞いてしまって、「結構肥料もやってますよ!やっぱり!」ということでした。管理も色々あるのでしょう。農家さんの技ですね。


うちのワタは背丈は天井に届くぐらい[3mぐらいでしょうか?]伸びました。背丈も伸び放題にさせてしまったけれど、これも1〜1.5mとかそのくらいで、切って枝を伸ばした方が良かったそう。

2株のうち1株、左の株は風で、ちょうど1mぐらいで折れてしまったのですが、左のその株は右の株より、花も、実も少なかった。もともとも種もあまり良くなかったのか。4粒ほどの種を植えて、間引いて2株残して育てるだけでは色々検証も難しいですね。それでも存分に楽しませてもらいました。

ありがとう。来年、また挑戦してみたいと思います。



そして、色々調べながらやっていくなかで、わかりやすい本があったので、ご紹介。

いちから作るシリーズ

「ワタの糸と布」




このシリーズはこの本をきっかけに知りましたが、他のもの「いちから作る チョコレート」「いちから作る プラスチック」「いちから作る 鉄」などがあって、ついつい数冊買ってしまいました。

出来ることは自分でいちから体験してみようというのは、アトリエの理念にも通じるモノがあります。


また、ワタについて調べていて知ったこととして、糸車と非暴力を訴え続けたガンディーとに深い関係があったということです。インド人が自ら糸車を使って、糸を生産することで、インドがイギリスからの独立を勝ち取ろうと、ガンディーがその普及を唱えたという歴史があるそうです。

綿というのは、人の歴史、暮らしとの問題をはらむ興味深い素材だなあと感じました。

現代においても、ウイグルのワタの生産現場で、人権問題が起きているというようなことも、実態はよくわからないまま聞こえてきています。ファッション業界の闇も伝えられるようにはなってきたけれど、それを消費して暮らしている私たち。

SDGsなんて正直、どんなアクションを取れば解決につながるのかわからないことだらけですが、ちらちらと聞こえてくる世界のひずみも、身近な素材のことを少しでも知ること、自分の手を動かしてみることが前向きなアクションになるのではないかと信じています。


まあ、それにそんなきれい事とは別に、単純に「身近な素材の実際を知りたい」という好奇心が主な原動力になっている気もするんですが。好奇心と問題解決という大義名分みたいなものと合致する感じなので、合わせて積極的に取り組んでいきたいと思っています。



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