ということで、今回は「素材編」
素材で変化を付ける方法のご紹介
画材の代わりに植物などの自然物を使って、画材となる材料を自分で採りに行く、というプロセス付きで絵を制作することをちょこちょこやっております。
そんなの絵じゃない!と思われるかもしれませんが、大人が感じるところのボーダーというのでしょうか。分類はお構いなしにやってみるのが、子どもたちとの表現の場合には圧倒的に面白くなります。
ちなみに今回は、画用紙をベースに平面的な表現をご紹介しますが、もちろん立体的に制作していくこともできます。そちらの紹介はまた改めて、別の機会に。
・「おさんぽあーと」
季節ごとに拾えるものが違ってきます。初夏の今だとフレッシュな草花が多く見つけられるのでそういったものを拾ってきます。
これが秋になると木の実や枯れ葉、枝など、冬でも木の実や、常緑樹の葉、小石などが拾えます。
さんぽに出かけて、拾ってくるところから一緒にやるのが面白いです。
アトリエではペットボトルをカットして作ったおさんぽバッグをよく利用しています。
どんなところに目を付けるのか、どんなものを拾うのか、そこにそれぞれの個性が出てきて、丸い形のものばかり集める子、棒が好きな子、石ころが好きな子、色に着目し色のバリエーション豊富に集める子など、本当に様々です。小さいお子さんはじっくりゆっくり色々なモノをみて見定めていきます。集めている時には「これいいんじゃない?」とかやたらに勧めたりせず、ゆっくりと探す様子を見ていくと面白いです。
どれを選ぶのか、そんな選ぶ行為からすでにそれぞれの表現が始まっています。
お部屋に戻ったら、集めた素材を画用紙などにボンドで貼り付けて行きます。
幼児さんは特にすぐ夢中になって取り組めます。
見ていると、たんぽぽの花の部分にボンドをドンと付けて、画用紙に付けてみたり、咲いている様に立てたい!と頑張っていたり、「絵」と言う捉え方だけでなく画用紙の上に箱庭?を作って行くような感覚の子もいたりします。並べていく内に「ここキャンプ場!」「ここは公園」「ここはお家でママがいて、これは○○ちゃん」と色々なストーリーが展開しはじめたりします。イメージが自由に広がって、植物が色々なものに見立てられていきます。
[↑幼児さん]本当に素敵でわくわくします!
それぞれのイメージが画面全体に表現されています。植物の美しさとそこに加わってくる線が、新たな印象を持たせてくれます。
[↑年長さん]
本当にバリエーション豊かな植物、そして植物だけでなく気に入った小石も拾っています。
下の方は植物を縦方向に、上の方は横方向に配置しているため、全体的に何となく風景のよう。真ん中辺りの大きな緑の葉は生き物のように見えてきます。
小学生はどうかというと、それぞれ好みが出てくるので、すぐに夢中になる子もいれば、若干興味が無くなってきている子も。植物の使い方も、そのままボンと貼っていくより素材をちぎったり、色で分けたりしながらよりこまかなコントロールをして作品を作り上げていったりします。大胆に見立てるより、より具体性を持たせたり、完成度へのこだわりが強くなります。
[↑2年生]
まだまだ自由に植物を配置したり、絵の具を塗っていたりしています。植物をスタンプ代わりにして模様を付けてみたり、様々な工夫がみられます。絵の具の色にはとてもこだわって、好きな色を混色で作って、色鮮やかな作品になっています。
[↑5年生]
イメージが具体的になっていて、植物を使って風景のような場面を作り出しています。右上は大きな木、下の方は植物が生えていて、花びらが舞い散る様子が表現されています。蝶々を描き加えて華やかな雰囲気に。蝶の触角にツツジのおしべを使っている辺りもナイスアイディアです!
[↑5年生]葉や花が屋根に乗っているような建物がたくさん描かれています。右下の建物は扉の横に木の実も貼り付けあります。絵の具で描き加えた、赤い線、空の水色がとてもビビットで、全体的にとても鮮やかです。題名「草木のまち」未来的な街のようにも見えてとても素敵です。
表現の中で作者が気を使っているポイントが変わってきますが、それぞれに面白さがあります。これはアトリエで年に1度ぐらいはやっていたりするので、長年通ってきてくれていると、何度めかな?となるわけで、そういうお子さんは「もう飽きた〜」と言うこともありますが、やってみるといままでと全然違う表現になって思わず自分の成長に気がついたり、ということもあります。
今回、上の作品については、たまたまではありますが、いずれも積極的に絵画表現にも取り組める子たちで、前のブログで紹介した「絵はいやだ〜」後の制作ではありません。ご了承ください。
どんな風にすすめているか、動画がこちらです。
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